『アフォーダンス』『シグニファイア』『ナッジ』の違いを考える

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この記事では、デザインの世界で用いられるアフォーダンス、シグニファイア、ナッジという物事の可能性に関する概念を紹介します。

なお、理解しやすくするため表現を簡略化していることをご了承ください。

 アフォーダンス 

アフォーダンスは人と物事の間にある無数の相互作用の可能性に関する概念です。簡単に表現すると「ある物事に対して人ができる可能性のあること全て」となります。

例えば、1枚のカードを用いて人ができることは、カードを伏せる、持つ、裏返す、曲げる、投げる、切る、叩く、混ぜる、なめる、立てる、カードで切る、叩く、混ぜる、扇ぐ、などが挙げられます。

これらはカードを用いてできることの可能性を列挙したものであり、「カードのアフォーダンス」と表現できます。

このように物事に存在しうる人と相互作用する可能性を表したのがアフォーダンスです。

ここで注意したいのが、アフォーダンスを「人が認知できているかは関係ない」ということです。つまり、誰もそれができるということに気づいていなくても可能性がある限りアフォーダンスは存在します。

先ほどのカードの例でいうと、私が気づけなかっただけで列挙されなかった無数のアフォーダンスが存在していることになります。全ての物事には誰も気づけていないアフォーダンスの存在する可能性があります。

また、気づいたとしても実行することが困難な場合もあります。けれど関係ありません。アフォーダンスは「実行できる可能性がある」だけで存在するのです。

なお、アフォーダンスには負の側面もあり、誰にも気づかれることなく実行されないことが望ましいものも存在します。

誰も認知できていないアフォーダンスは大きな価値を秘めており、発見できれば新しい商品やサービスを生む可能性を秘めています。

例えば、近年発達しているドローンのアフォーダンスを発見できれば莫大な価値となるでしょう。

アフォーダンスは発明やイノベーションの根底にある概念といえるかもしれません。

 シグニファイア 

シグニファイアはアフォーダンスと混同されやすい概念ですが、こちらは「アフォーダンスに気づかせる手がかり」を意味します。

物事には無数のアフォーダンスが存在しますが、特定のアフォーダンスに気づいてもらうためのサインだとお考え下さい。

カードを例にすると、「折り目をつける」シグニファイアで「カードを曲げる」というアフォーダンスに気づくことや、「カードの裏表の絵柄を変える」シグニファイアで「カードを裏返す」というアフォーダンスに気づくなどがあります。

 ナッジ 

ナッジはシグニファイアを用いて人に特定の行動を促すことです。

ナッジによって促される行動は強制されるのではなく自発的に行われるもので、促された行動以外にも選択肢があります。なお、ナッジを悪用することをスラッジといいます。

実際に行われたナッジの例を2つ紹介します。

【駅のごみ箱】:雑誌を捨てられるという可能性(アフォーダンス)が存在しており、横長の投入口を用意することで雑誌を捨てられる手がかり(シグニファイア)を示した。その結果、利用者が雑誌を捨てることを選択し実行した(ナッジ)。

 

【ボトル飲料】:炭酸を含む果肉が沈殿しやすいボトル飲料があり、誤って振ってしまうと破裂する恐れがあった。ボトルを振ること(アフォーダンス)に消費者が気づきやすい状況だったので、振らずに果肉を攪拌する方法(アフォーダンス)をより気づきやすくする必要があった。そこで、ボトルを上下逆さまのデザイン(シグニファイア)にした。ボトルのデザインを確認するために上下逆さまに持つようになり自然と内容物が攪拌されるようになった(ナッジ)。

総括

物事の可能性を考えるとき「無知の知」を忘れないことがとても大切になります。

常に自分たちが気づいていない可能性が存在することを忘れてはいけません。そうすれば、今は見えていない可能性がきっと見えてきます。

貴方だけが気づくことのできる誰も気づいていない可能性がきっとあるはずです。

あらゆる物事には常に誰も気づいていない可能性が存在します。どんな物事もその人次第で全く新しいものに生まれ変われることでしょう。

この世にある全ての物事は無限の可能性を秘めています。私自身もその可能性に気づく力を養うため、今後も考察を続けていきます。

あとがき

最後までお読みいただきありがとうございました。この記事の内容は筆者個人の考察に基づいたものです。

ご意見ご感想がありましたらページ下部のコメント欄に是非お書きください。また本記事について各SNSで「#ゲームデザイン思考」をつけて投稿いただけると幸いです。

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